Blogしゃちょうのブログ

毎年が苺つくりの1年生

2022.02.24

2月も後半に入り朝晩は冷え込みますが、
日差しは春っぽくなってきました。
朝の苺の収穫作業の時には、9時ころになると
ハウス内の気温も上がり、汗ばむようになってきました。
来週はあっという間に3月です。
春ですね。

ハウスの中では、苺に異変がありまして、
へたが茶色くなる症状の、苺たちが目につくようになってきました。
今まで目にしたことがなく、原因を突き止めなければと思い、
本日、農林事務所の方に見てもらいました。
私も、正直なところ原因がわからず今後の技術の向上のために、
相談させていただきました。

色々な原因が考えれるのですが、一番の要因は、
ハウス内の乾燥が原因ではないかという見解でした。
私は、以前多湿で、大量の苺を腐らせてしまったことがあり、
湿気は、苺にとって大敵だと思っていました。
なので、高説栽培のシステムを作る時に、極力湿度が上がらないように施工を工夫しました。
しかし、今回の農林の方の話ですと、乾燥しすぎても良くないという事でした。
苺は春の作物なので、ある程度の湿度は必要で、湿度が少ないと
新葉の伸びや、苺の果実の肥大にも影響を与えるという事でした。
今年は、雨の量も少なく、乾燥気味なので、
発生してしまったのではないかという事でした。

なので、急遽対応として、湿度を上げればよいので、
ハウス内に水を撒くことにしました。

水を撒いて、ハウス内の湿度を測ったところ
水を撒く前の11時時点湿度30%から、夕方には湿度70%を超えていました。

以前私は、多湿で失敗したこともあり、苺に関しては乾燥している方が良い環境だと思っていましたが、
今年の空気の乾燥具合や、苺の生育状況によっては、湿度が必要だということが解りました。
26年苺を栽培していますが、毎年毎年思うようにいきません。
それが農業の奥深さだと改めて感じました。
自然とともに、学ばせていただくことが多いです。

毎年が苺つくりの一年生です。

日々、学ぶ姿勢が必要だと思いました。
いつになったら思い通りの苺が栽培できるのだろう…。

 

れっどぱーる立ち上げ秘話 vol.3

 

[れっどぱーるオープンします]

 

平成19年12月12日
直売所のオープンです。色々な気持ちを抱えながら当日を迎えました。
美味しい苺なら必ず売れると信じ、農協出荷の時の様な輸送と棚もちを意識した早摘みの苺ではなく、
ヘタまで真っ赤になった完熟の苺を売るようにしました。

 

子供の頃から苺を食べていたので、苺の食べごろを知っていて、
その苺の香りとコクのバランスの取れたおいしさを沢山の人に知って頂きたい思いもありました。

(道路にも看板は立てたし、チラシも沢山配ったし、地方紙にも広告を入れました。やれる事はやりました。)

期待と不安を抱え10時開店・・・・
ドキドキしながら出入り口を開けました。

 

・・・シーーーーン・・・

 

誰もいません。あれっ?
その日に来て頂いたお客様は、2~3人でした。
まだ初日だからしょうがないとは思いましたが、覚悟はしていたもののショックでした。

(チラシもたくさん配ったのにな・・。)

世の中を何も知らない私は、チラシの効果や、地方紙の宣伝などに過剰な期待をしていたのでした。
またもや世間知らずの私に試練が訪れました。
2~3日過ぎて出来立てほやほやの直売所の力の無さを感じた私は、またもや不安の化け物に憑りつかれました。

 

(どうしよう売れない。)

 

不安になりながらも、まだマックスバリューとアピタの卸があったのでそちらに目を向けました。
慣れないながらも一生懸命に営業して掴んだチャンスだったので、ここだけは生活の最低限の収入源として売れてほしい。
値段も交渉して決められるので買いたたかれる心配はなく、取りあえずこの卸しの流れさえ作れればと思っていました。

{完熟の苺}美味しいからきっと売れる。

ブランド化を目指していたので、卸し価格は、市場相場より50円ほど高く卸ました。
またもや期待は裏切られました。  追加の発注が来ません。

売れない・・・・。

いよいよ本当のピンチがやってきました。
直売所は売れない。スーパーも売れない。・・・。
苺は日に日に赤くなり出荷量も増えてくる。
まだ始まったばかりなのに、今からピンチでこの先どうなるの?
自分に問いかけました。

どうしよう。どうしよう。どうしよう。どうしよう。

頭の中は「どうしよう」で一杯でした。
この頃からふとわいてくる事がありました。
(市場に出して安くても何でもお金にするか?きっと楽になるよ。)
自分の中のもう一人の自分が甘い言葉をかけてきます。
自分との闘いです。市場は出せば全量買ってくれます。でもいくらになるか解りません。

私は、この戦いをほぼ毎日する事になりますが、決して負けませんでした。
だって、負けたら農協の時と同じ様に、単なる市場の下請けになってしまいます。
元に戻ってしまいます。我慢しました。

とても苦しく辛かったです。

苺は完熟。早く何とかしないと傷んでしまう。
在庫はたまっていきます。どんどんたまっていきます。
もう、頭が何とかなりそうでした。

家族皆も不安でいっぱいだったと思います。でも家族は私を決して攻めませんでした。
攻めるよりも私を励まし、勇気づけてくれました。家族だけが味方の様な気になっていました。

自分の無力さを感じ、眠れない日々が続きました。
思っていた以上の商売の難しさに、心も、体も折れる寸前でした。

VOL.4 へと続く